換気扇(レンジフード)は、毎日の調理で油汚れやホコリが溜まりやすく、掃除を怠ると吸引力の低下や嫌な臭いの原因になるだけでなく、火災リスクの一因になることも。
普段は見えにくい部分だからこそ、定期的なお手入れが大切です。
家庭で換気扇掃除する際、洗剤の選び方に迷う人も多いですが、その中で進められるものの一つが”重曹”です。
重曹は安全性が高く、環境にもやさしく、さらに頑固な油汚れを分解する効果があるため、多くのご家庭で活用されています。
ただ、そんな重曹も使い方を間違えると、換気扇にダメージを与えてしまう恐れもあります。
この記事では、換気扇掃除に重曹が効果的な理由と注意点、重曹を使った掃除のやり方などについて解説していきます。
換気扇(レンジフード)の掃除の必要性

換気扇は、料理中に発生する油や煙などを外に排出し、清潔なキッチン環境を保つために欠かせない設備です。
しかし、使い続けるうちにフィルターや内部に油汚れが蓄積し、放置すると換気効率が下がるだけでなく、異音や火災のリスクを高めてしまいます。
換気扇に汚れが溜まる仕組み
料理の際に出る油分は蒸気と一緒に換気扇に吸い込まれ、フィルターやファンなどに付着します。
時間が経つとその油が酸化して固まり、さらにホコリと混ざってベタベタとした汚れへと変化していきます。
この状態になると換気効率が下がり、掃除の手間も格段に増えてしまいます。
見た目にはきれいでも、内部には汚れが蓄積していることが多いため、早めの掃除が重要です。
汚れを放置した場合に起きること
換気扇の汚れを放置すると、油の層が厚くなりファンの回転が重くなります。
結果的にモーターに負担がかかり、故障や異音の原因となることも。
さらに油は可燃性があるため、高温や火花が加わると火災につながる危険性があります。
加えて、キッチン全体に嫌な臭いが充満したり、壁や天井に黄ばみが広がることもあるため、早めの対応が欠かせません。
掃除の頻度の目安
ご家庭での換気扇の使用頻度によって掃除のペースは異なりますが、一般的には「フィルターは月に1回程度」の簡単な掃除を行うのが理想です。
そして半年〜1年に一度は重曹を使ったつけ置きや、必要に応じてプロによる分解クリーニングを取り入れると良いでしょう。
揚げ物をよくするご家庭などの場合は、より短い間隔でのケアがおすすめです。
定期的なメンテナンスを心がければ、大掛かりな掃除の負担を軽減できます!
換気扇掃除に重曹が効果的な理由3選

換気扇(レンジフード)には、頑固な油汚れが付着していることもあります。
その汚れを落とす際に役立つのが重曹です。
重曹は弱アルカリ性の性質を持ち、酸性に傾いた油汚れを効率よく分解・中和する働きがあります。
さらに消臭や研磨作用も兼ね備えており、家庭で安心して使える掃除アイテムとして人気です。
油汚れを中和・乳化して落とす
油汚れは酸性に近い性質を持つため、重曹の弱アルカリ性が汚れを中和して落としやすくします。
特に重曹水につけ置きすると、こびりついた汚れが柔らかくなり、スポンジで軽くこするだけで落としやすくなります。

市販の強力なアルカリ洗剤に比べて刺激も弱いため、肌やキッチン環境に優しい点も安心です!
研磨作用と消臭効果も
重曹を粉のまま使用したり、ペースト状にしてこすることで、軽い焦げやこびりつきの汚れを物理的に削り取る効果があります。
また、酸性の臭いの原因を中和する働きもあるため、換気扇内部にこもった油臭さを軽減するのにも効果的です。
ただし、強くこすりすぎると表面の塗装が剥がれる恐れなどもあるため、素材に応じて使い方を調整することが大切です。
安全性やコスト面でも優秀
重曹は食品にも使用される成分のため、安全性が高く、ご家庭でも扱いやすいのが特徴です。
市販の専用クリーナーよりも安価で手に入りやすく、日常的な掃除に活用しやすい点もメリットです。
しかし、長時間のつけ置きや濃度が高すぎる場合、アルミ製部品の変色や素材の劣化が起こることがあるため、必ず事前に確認してから使用することをおすすめします。



重曹には、食用や医療用なども存在しますが、価格面を考えるなら掃除用がお得です!
換気扇掃除に重曹を使うのは注意点も!


重曹はご家庭で使いやすい洗剤として人気ですが、換気扇掃除に使う際にはいくつかの注意点もあります。
アルミ製の部品や塗装が施された部分は、重曹によって変色や剥がれ、素材の劣化が起きる可能性もゼロではありません。
そのため、換気扇掃除に重曹を使う場合には、目立たない箇所で試してから使用してください。
ファンやフィルターをつけ置きする場合は、重曹の濃度や時間を調整し、最後には必ず流水で丁寧にすすぐことが重要です。



さらに、作業中は換気をしっかり行い、ゴム手袋や保護メガネを着用して安全を確保しましょう!
重曹を使った換気扇(レンジフード)掃除の手順


重曹を使った換気扇掃除は、基本的に「取り外せる部品は外してつけ置き」「外せない部分は重曹ペーストやスプレーで拭く」という流れです。
重曹の特性を理解して上手に使うと、油汚れを無理なく落とすことができます。
掃除を始める前に、必ず換気扇の説明書を確認して安全に進めましょう。
電源を切り・養生する
換気扇掃除を始める前には必ず電源を切り、感電や事故を防ぐ準備を整えます。
安全のために「コンセントを抜く」「可能であればキッチンのブレーカーを落とす」とより安心です。
掃除中に誤ってスイッチを入れてしまう心配もなくなるため、落ち着いて作業ができるメリットも。
周辺を養生する
掃除中は油汚れが落ちて周囲に飛び散ることがあります。
コンロの上には新聞紙を敷き、床にはビニールシートを広げておくと、汚れの飛び散り回避+片付けも楽になります。
換気扇の真下だけでなく、少し広めに養生をしておくとさらに安心でしょう。
こうした準備をしておくことで、掃除後の二次的な汚れを防ぎ、作業効率も大きく向上します。



小さな手間ですが、後々の掃除の負担を軽くしてくれる大切な工程です!
部品を外す(フィルターやファンなど)
換気扇にはフィルターやファンなど、取り外して洗える部品があります。
説明書を確認しながら、無理のない範囲で外していきましょう。
部品によってはネジや金具で固定されていることもあるため、”道具を使う場合は力を入れすぎない”ように注意してください。
無理に引っ張ると破損の原因になるため、少しでも不安がある場合は一度手を止め、取扱説明書を再確認することをおすすめします。



無理に部品を外すくらいなら、分解掃除はプロの業者に依頼する方が安全です!
重曹水に付け置き
外した部品はぬるま湯に重曹を溶かした重曹水につけ置きします。
目安は、【水100mlに対して重曹小さじ1杯程度、温度は40℃前後】が効果的です。
ぬるま湯を使うことで油汚れが柔らかくなり、重曹の洗浄効果がより発揮されます。
30分〜1時間ほど置くと油汚れが浮き上がり、洗いやすくなります。
汚れがひどい場合は「少し長めにつける」「アルカリ性の洗剤を使用する」のも方法の一つです。



重曹はもちろん、アルカリ性の洗剤の使用も部品によってはリスクもあるので、事前に説明書などを確認しましょう!
外せない部品は重曹水・ペーストで掃除
換気扇内部には、電子部品や固定されていて取り外せない部分が存在します。
そうした箇所には重曹を水で溶いたスプレーや、重曹と少量の水を混ぜて作るペーストを使って掃除をします。
布やスポンジに液を含ませて拭き取り、決して電子部品に直接吹きかけないように注意してください。
汚れが頑固な部分には、ペーストを塗って数分置き、その後拭き取るとより効果的です。



力任せに擦ると塗装の剥がれや部品の破損につながるため、こびりついた汚れはプロに任せるようにしましょう!
つけ置きした部品を洗う
重曹水で油汚れが浮き上がった部品は、スポンジで優しくこすり洗いをします。
フィルターの細かい部分やファンの隙間は、歯ブラシを使うと汚れが落ちやすくなります。
ブラシを使うときも毛先を強く押し当てず、軽く動かすのがポイントです。
洗い終えた後は水気をしっかり切り、風通しの良い場所で完全に乾燥させましょう。
水分が残っていると錆びやカビの原因になります。



急ぎたい場合でもドライヤーの送風を使って乾かすと安心です(温風は部品を傷める恐れがある)!
外した部品を取り付ける
完全に乾いたことを確認したら、部品を元の位置に取り付けます。
外す時と逆の手順で慎重に戻し、緩みやはめ間違いがないか確認しましょう。
ネジを締める際は強く締めすぎないように注意し、部品がしっかり安定していることを確認してください。
不安があれば説明書を見ながら進めると安心です。



作業が完了したら、最後に換気扇を軽く回して動作確認をすることも忘れないようにしましょう!
換気扇掃除で重曹でも落ちない汚れへの対処法


換気扇の掃除に重曹を使うことはとても効果的ですが、万能ではありません。
特に時間が経って固まった油や炭化してしまった汚れは、重曹だけでは完全に落とせないことも。
酸化や炭化した汚れへの対応
長期間放置して熱によって炭化した汚れは、重曹水につけ置きしても十分に効果が出ないこともあります。
その場合、酸素系漂白剤やメーカー推奨の強アルカリ洗剤を使用することで汚れが落ちることがあります。
ただし、換気扇の素材や説明書に従うことが大前提です。
変色や黒ずみ
アルミ部分に見られる黒ずみや変色は、化学反応によって生じるもので、重曹では改善しない場合があります。
こうした場合は無理に磨いてしまうと素材を傷つけるリスクがあるため、プロの研磨や部品交換を検討したほうが安全です。
家庭でできる掃除は、”油汚れを落とす”範囲にとどめるのがベストです。



自己判断で誤った薬剤を使用ややり方を進めると、部品を傷めてしまう恐れがあるため、不安ならプロに依頼するのが安心です!
換気扇掃除を自分でする際の注意点


自分で換気扇掃除をする場合、正しい手順と安全対策を意識することがとても大切です。
掃除そのものよりも、作業中の事故やトラブルの方が深刻な問題になることもあります。
ブレーカーを落とす・プラグを抜く
掃除中に誤って換気扇が動いてしまうと、怪我などの大きな事故につながる危険があります。
そのため、必ずブレーカーを落とすか、電源プラグを抜いてから作業に取りかかりましょう。
「外側を拭く」などの小さな掃除であっても、うっかりスイッチに触れて動作してしまうことも。



感電やケガを防ぐためにも、電源を完全に遮断することは”基本中の基本”とも言えます!
保護具や作業環境にも注意
油汚れの掃除は、手や目にダメージを与えることがあるため、ゴム手袋や保護メガネをつけるようにしましょう。
服装も汚れてもよいものを選び、作業中に動きやすいように準備することも大切です。
さらに、窓を開けて十分な換気を行い、油汚れや洗剤のにおいがこもらないようにすることも忘れてはいけません。
また、作業場所の床やシンク周りには新聞紙やビニールを敷いておくと、油の飛び散りや洗剤の液ダレによる汚れを防ぐことができます。



作業環境を整えることで、後片付けの負担も大きく減ります!
足場を安定させる
換気扇は高い位置に設置されているため、人によっては掃除する際には脚立や椅子を使うこともあるでしょう。
その際には必ず足場を安定させ、ぐらつきのない状態で作業することが大切です。
不安定な椅子や物を代用して作業すると、バランスを崩して転倒し、大きなケガにつながる危険性もあります。



「どうしても届かない場所がある」などの場合は、無理をせず、ゆっくりと落ち着いて行動することが安全に進めるポイントです!
換気扇の掃除をプロに任せるメリット・料金目安


換気扇掃除は自分でできる範囲も多いです。
しかし、奥まで入り込んだ汚れや分解が必要な部分はプロに任せた方が安心です。
プロの業者は、専用の洗剤や機材を使って内部まで分解洗浄し、短時間で徹底的に仕上げてくれます。
劣化や異常のチェックも同時に行ってくれるため、長期的に換気扇の使用環境を守る意味でもメリットが大きいです。
料金は1台あたり1〜2万円程度が相場で、「大掃除」「換気効率が落ちている」「1年に1回」などのタイミングで依頼すると良いでしょう。



複数業者から見積もりを取り、比較検討すること大切です!
危険?換気扇掃除をしない場合のリスク


換気扇を掃除しないまま放置すると、さまざまなリスクが生じます。
まずは、油汚れが溜まると換気効率が下がり、換気扇が余分なパワーを使うため、光熱費の増加につながります。
さらに、油やホコリが混ざって悪臭を発し、キッチン全体の空気環境が不快になることも。
モーターやファンに汚れがこびりつけば、回転が重くなり、故障や修理の原因にもなります。
そして最も怖いのは、油汚れが火の粉や高温に触れることで発火するリスクです。



こうしたリスクを防ぐためにも、定期的な掃除で【安全+清潔さ】を守ることが重要になってきます!
おわりに
普段汚れが確認しづらい換気扇だからこそ、定期的な掃除は必須です。
洗剤選びに迷った場合には、重曹を取り入れることで負担を軽減しつつ、安全で効果的に掃除を進めることができます。
とはいえ、換気扇の種類や部品によっては、重曹を使うことで塗装の剥がれやさびなどにつながることも。
重曹では落ちにくい頑固な汚れや内部の分解が必要な場合には、プロのクリーニング業者に依頼するなど、状況に応じて方法を選ぶことも大切です。
換気扇を清潔に保つことは、料理の快適さだけでなく、家族の健康や住まいの安全にもつながります。
まずは、自分でできる範囲から取り入れてみるのもよいのではないでしょうか!